人間の五感の中で、聴覚は一番早く発達すると言われます。ママのお腹の中でママの声を聴いてきた赤ちゃんたち。まだ他に何も出来ない時期から、耳はたくさんの情報をキャッチします。
当教室の親子音楽クラスでは、「聴く」ことを重要視します。
「聴く」行為は、集中力を高めます。
どんなによく泣く赤ちゃんでも、「静かに聴く」ことは出来ます。お腹がすいていたり、とても眠かったりしてうまくタイミングが合わないこともありますが、ちゃんと目を見て優しい口調で語りかけ、集中力を逃さないように誘導すれば、どんな子でもちゃんと「聞いて」くれます。
クラスの最初のご挨拶は、耳を澄ますことからスタートします。
小さな音が出る楽器を、順番に一人一人鳴らして…どんな音がするかな。
子どもを信じて、静かに、短く、丁寧に。
また、この年齢は「出来ない」のが当たり前です。最初は何もできなくて良いのです。反応が全くなくてもいいのです。
いつか種が芽を出すように、辛抱強く水やりをする。
3歳までの子に必要なこと(美しい音や優しい音、楽しい音や笑い声)を、じっくり与え続けることが重要です。
そして、一番大切なのは「ぬくもり」や「触れ合い」です。
親と一緒に動き、一緒に歌うことで、音楽が、親との温かな思い出とリンクしていくよう導きます。クラシック音楽はもちろん、受け継いでゆくべき童謡や手遊びうた、わらべうたなども用います。
レッスンの半分ほどは、ピアノの演奏があります。
ピアノを聴きながら、色を塗ったり。
おままごとをしながら、ピアノの音楽と一緒に動いたり。
その中に、音楽の基礎知識を散りばめ、スパイラルラーニング方式で(螺旋学習)、音楽の基本を形を変えて何度も繰り返すことによって確実に身につけていきます。
音楽は、楽器を演奏することだけが大切ではなく、様々な和音やメロディラインの微妙なニュアンスの違いを感じ取り、それを喜び楽しむことが一番大切だと私は思います。聴く耳を育てることで、「違いの分かる」子供に育ってほしいと思っています。
年間を通して、次の4パートのカリキュラムを行います。
・絶対音感の習得
・リズム感の育成
・読譜の準備
・音楽鑑賞(空想遊び)
◆絶対音感習得
数ある絶対音感メソッド(江口式、鬼頭流、木下音感教育など)や、子どもの音へのアプローチ(シュタイナー教育の5度音階など)を参考に、独自で研究を重ねました。グループレッスンに特化した絶対音感習得への独自プログラムです。
親子音楽クラスは、週に二日間(水曜・金曜)開催しますが、耳を育てるためには毎日の練習も大切です。ご家庭での練習(音遊び)のコツも一緒に学びます。
途中から入会されても大丈夫。何度も繰り返していくことで、耳は徐々に育っていきます。
◆リズム感育成
リズムの基本は、大きくは2分割(バイナリー)、3分割(ターナリ―)の2通りに分けられます。様々なリズムに即反応できるように慣れ親しんでいきます。
円運動の大切さ、リズムの連続性やフレーズもイマジネーション豊かに感じ取れるよう、様々な音源を使って、身体で表現します。小さな子はポンポンと背中を親が叩いてあげることから。ゆらゆら揺れてみたり、歩いたり走ったり、指揮の真似をしてみたり。ここは動的パートです。
◆読譜の準備
3歳までの子が読譜をするのは本来非常に困難です。読譜は、本格的には4歳頃から行うのがベストだと思います。ですが、そこに至るまでにできることは実は意外とたくさんあります。
私が弾くピアノの演奏をBGMに、シールを使ったり、お絵描きをしたりすることで、色と音と五線とをリンクさせ、細かな作業で脳から指先への伝達回路を刺激します。工作遊びの要素が強いパートです。
◆空想遊び
子供たちの集中力が続く程度に、短く、私が美しいと思う曲、楽しい曲、クラシックの名曲などを、弾いたり歌ったりしながら空想遊びをすることで、想像力を養います。
大人向けに、曲にまつわるエピソードや簡単な歴史についても言及し、赤ちゃんたちだけではなく、子育て中の母さんたちへの良い時間になるといいなと思います。